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あの人の生活リズムは?活躍人の生活リズム
小室淑恵さんは、さまざまな企業にワークライフバランスを導入するコンサルティング会社の代表取締役。全国を講演に飛び回り、ビジネス書でもヒットを連発、女性向けの商品企画も手がけるなど、多忙な社長業に腕をふるいつつも、毎日18時には退社して息子さんの子育てもしっかり楽しんでおられます。「今の日本社会で求められる人材って?」「勉強の効率って、どうやったら上がるの?」・・・などなど、ビジネスの第一線で活躍中の視点から、たくさんのアドバイスをいただきました!
勉強と遊びのワークライフバランス――勉強をするのは、何のため?
「ワークライフバランス」とは、どういうものですか?
私生活の体験や学びからインプットしたものを、発想や企画や人脈といった形で仕事に活かすことで、生産性の高い、効率的な働き方をしようという考え方が、ワークライフバランスです。仕事と私生活、両方を充実させることで、いい循環ができるんですよ。
仕事だけをひたすらがんばったほうが、生産性は上がるような気がしますが・・・。
それが通用する時代ではありません。今のように、商品やサービスのサイクルが短い時代には、斬新なアイデアや、生活に密着した発想力こそが大切。つまり、日本社会が求めているのは、長時間やみくもに働く人ではなく、「高い付加価値を生み出せる人」なのです。
日本のように人件費の高くなってしまった国の人間は、継続的に高い付加価値を作りだし続けなければ、国として立ちゆかないんですよ。ひたすらがんばれば生産性のあがるような単純労働は、人件費の安い国に流れています。親の世代とは、日本のおかれている背景が違うということを、知っておいてほしいと思います。
高い付加価値を生み出す人間になるためには、ワークライフバランス、つまり私生活も大切なのですか?
そうですよ。長時間会社にいて、机にしがみついているだけでは、アイデアに行き詰まるし、人脈も狭くなってしまうでしょう? 育児に関わることで生活者の視点を得たり、会社の外の勉強会で自己研鑽したり、地域ボランティアで異業種の人と知り合ったりする中で得たものを仕事に活かすことが、高い付加価値を生み出すことへと繋がります。
私たち中高生にとって、仕事は「勉強」だと思うのですが、同じことが言えますか?
そうですね、勉強にも時間をかければかけたほうがいいと考えている人が多いけれど、時間だけ長く勉強しても成果は上がらないと思います。大切なのはどれだけ集中して、効率的に勉強しているかです。
勉強と生活のワークライフバランスでは、どのようないい循環が生まれますか?
たとえば教科書で「どこの国では何万人の難民が出ています」と、国名と数字を覚えなければいけないとします。同じ問題を読んでも、勉強だけをしている人よりも、海外に行って貧しい人たちを見たり、地域ボランティアで介護を体験した人のほうが、自分の学んでいることの意味がわかるでしょう。つまり、勉強とライフが相乗効果を及ぼしあい、勉強の意味が自分にとって深いものになると思うのです。
ちなみに、勉強って、何のためにするものだと思いますか?
えっ……あまり考えたことがありません。
私は、学校の勉強というのは、将来、「社会の問題を解決するため」に学ぶものだと思います。みなさんは、勉強を通して、そのための知識を揃えているんです。
今、勉強していることが、語彙となって身にしみこみ、それが社会に出て問題に取り組むときに、レベルの高い人たちと会話や議論をするための下地となり、教養の基礎となるのです。大学入学がゴールじゃありませんよ。
企業が求めている学生は「働きつづけてくれる人」!?
中学生~高校生のころの小室さんは、どのような学生でしたか?
中高生時代の私は、闇でした(笑)。自分が何をしたいのか、まったくわからなくて、ひたすら悩んでいましたからね…。今、あの頃の私にアドバイスをするならば、「今の若い社会人が何を考え、どういう生活をしているのかを、もっと積極的に知りなさい」と言いたいです。中高生は大人の知り合いが少ないから、親からの古い情報や、企業社会を知らない先生方からの情報を鵜呑みにしちゃう。参考にすべきは、自分とあまり年の離れていない若い社会人の言葉です。ボランティアなどに参加して、若い世代の社会人と、すすんで接点を持ってほしいですね。
では、いつごろ、その「闇」から脱出したのですか?
実は私、大学3年生までは、専業主婦になりたがっていたんです。
企業は女性なんか求めていない、男女雇用機会均等法ができたから仕方なく採用しているんだと思い込んでいたからです。「女性が頑張ってもどうせ報われない。それなら最初から働きたくない」という自己防衛本能の結果としての、専業主婦願望でした。求められていない環境で戦う自信もなかったし、社会への憤りもあって、働くことに背を向けていたのです。本当は人一倍、認められたいという自尊心が強かったのかもしれません。
なにがきっかけで、働こうと思ったのですか?
大学3年生のときに、当時上智大学教授だった猪口邦子さんの講演を聞いたことが、一番のきっかけです。「これからは働いて子育てする人がどんどん増えるわけですから、そういった人をターゲットにした商品やサービスが売れる時代になります。これからはあなたたちのような女性こそむしろ働いて子育てもして、そういう経験からアイデアを提供できる貴重な存在になるんですよ」という言葉に心から励まされました。
それからアメリカを1年放浪している途中、住み込みでベビーシッターをしたりと、いろいろな経験から見聞が広まり、仕事に対する意識が変わっていきました。
実際に社会で活躍されている小室さんから見て、今の日本は、「女性が頑張ってもどうせ報われない」社会ではないですか?
もちろん変わりましたよ! 日本の企業にとって大きな変化は、2007年から団塊世代がいっせいに退職しているということです。あと5年で定年退職によって社員数が半分になる企業もあります。その仕事を担う人材を、人材のレベルを落とさずに採用しようとすると、この少子化の時代に、新卒男子に限定していては、数がぜんぜん足りないんです。業績維持したければ、実質的に、企業は女性を採らざるをえません。現在の主要な産業は、筋力の関係ない、生活密着型のサービスですし、女性の活躍の場はいくらでもありますよ。
それでも、女子学生の採用率が悪いという話を聞きます。
企業が気にしているのは、「この人は、投資した分だけ働き続けてくれる人なのか?」ということだけだと思います。
新卒を採用して、一人前に育成するのって、とってもお金がかかることなんですよ。だいたい1人あたり1千万円のコストをかけています。その教育投資を社員の働きによって回収できるのが入社約8年目からなのに、だいたい女性が出産で辞めてしまうのが8年目。これでは、会社としては投資した1千万円をただ失うことになるでしょう? 投資したお金が返ってこないことは、企業の継続にとって、とても困ることです。だから、企業は、「女性かどうか」より「辞めない人かどうか」を見ているんですよ。「私は結婚しても出産しても、働きつづける人材です」ということさえ伝えられれば、男女はもう関係ないと思ってください。
女子学生の側に、働きつづける覚悟があれば、関係ないということですね。
そういうことです。ぜひ知っておいてほしいのですが、今の日本の社会では、夫の収入だけで養育できる子どもは1人が限度です。私たちの親の世代とは違って、今の日本は、妻が働かなくても子どもを2人、3人と持てるほど豊かな国ではないんです。それを知らずに、安易に結婚や出産で仕事を辞めてしまう女性が多すぎます。女性も学生のときから一生働く覚悟で、勉強や就職活動に励んでいただきたいと思います。
集中力を高めて、効率的に勉強する方法とは!?
では、小室さんの、1日の生活を教えてください。
5時~5時半には起きています。朝の家事・育児は夫が中心になってくれるので、私はジムで汗を流したり、ゆっくりお風呂に入ったりと、比較的、自分の時間が持てます。朝にエクササイズをするのは、脳や身体を目覚めさせて代謝を上げるため。私の会社は、18時には絶対に帰らなければいけない会社ですから、8時間の業務時間に凝縮して力を出し切らなければいけません。長時間残業している人にありがちなように、「午前中はぼちぼち肩慣らし」なんていうヒマはないですし、中だるみする余裕もありません。朝、エクササイズでしっかり目を覚ませば、1日をフルパワーで送ることができます。
夜も、とても早寝ですね!
夜は、すぐ眠くなっちゃうんですよね(笑)。夕方~夜の家事・育児は私の担当なので、洗濯などの家事をすませて、息子に息子と一緒に21時くらいにベッドに入って、いろいろと絵本を読んであげているうちに、私も寝ちゃいます。
朝型の生活をされていて、よかったことはありますか?
前の会社で働いていた時代は、夜遅くまで仕事をしていたこともありますが、20代後半になって、目の下にシワができちゃったんですよ。それが、シッカリ寝るようになったら治っちゃいました(笑)。高い化粧品よりも、肌には睡眠が効きます!
あと、夜型の頃に比べて、太りにくくなりましたね。朝からしっかり食べているのに太りません。体調もよくて、社員からよく「小室さんだけ風邪をひきませんね」って言われます(笑)。
睡眠は肌にいい、そしてダイエットにもいい! ということですね。
それに、朝を早く起きると、始業時間後も眠くて不機嫌になることもなく、朝から気持ちが一定ですよ。人間って、睡眠不足のときは、ちょっと何かいわれただけで、クヨクヨ気に病んでしまうんですよね。夜遅い時間に考えても、マイナス思考になっちゃうでしょう。朝って不思議とクヨクヨしないんですよね。
だけど、夜こそ勉強しなくちゃって思ってしまうんです。
東大の島津明人准教授によると、人間の集中力は、朝起きてから13時間しか続かないそうです。だから、朝7時に起きた人の集中力は、夜8時には切れちゃうんです。そこからは酒気帯びと同じ、15時間(夜10時)過ぎたら酒酔いと同じ程度の集中力しか保てない。そんな時間帯に勉強することは非効率的だと思いませんか?
本来、勉強は学校にいる時間こそが大事。その時間帯が、もっとも集中力が発揮できるんです。学校は適当にすごして、夜にがんばればいいと思っている人は、逆ですからね、逆!(笑)。私自身、学校で寝ていた高校生のときは、塾に行っていても成績は落ちました。
時間を効果的に使って、集中力を高める、よい勉強法があれば教えてください。
一番よくないのは、「とりあえず毎日12時くらいまで勉強しよう」というやり方です!
このやり方では、12時までをひたすら「過ごそう」とするんですよ。私も中高生のときはこうでしたがから、母の目撃談によれば、部屋を覗くとたいてい寝ていたそうです(笑)。
たしかに、「12時まで机についていればいいや」と思ってました・・・。
脳は、タイムトライアルがあるときに集中して活動しますから、「問題集を5ページ、いつもなら2時間でやるけど、今日は1時間半を目標にやってみよう」と決めて、もし目標を達成したら、あまった30分はご褒美として好きなことをして遊ぶ・・・というルールを決めてみるのはどうでしょうか。また、きらいな科目を1時間頑張ったら好きな科目を1時間やるというように、交互にトライアルすると、いいのではないかと思います。
あと、細かいことですが、私は、塾が終わってからではなく、少し早いけれど塾の前にごはんを食べるように生活を変えたら、よい結果が出ましたし、痩せましたよ。おなかすいたまま何時間も勉強するのはとても非効率ですし、食事の時間を前に持ってくると、寝るのも早くなりますからね。
仕事をしながら、豊かな生活。これからはワークライフバランスの時代
最後に、私たち中高生にアドバイスをお願いします。
私はよく、「柱は3本あったほうがいい」と言っています。中高生のみなさんも、ボランティアでも外部サークルでもいいので、「学校」と「家庭」のほかに、自分の居場所を作れるといいですね。
それは、どうしてですか?
学校という軸だけで自分を判断されると、がんばっても空回りするときや、自分には何も非がないのに周りとうまくいかなくなったときに、とっても苦しいでしょう? 私自身、学校がうまくいかないときに塾での人間関係に救われたり、前の会社でうまくいかなかった時期にはボランティアで学生にプレゼン講座を教えていたことで「私は必要とされているんだ」と思うことができました。
逃げることとは違うのですね。
まったく違います。メインのコミュニティでうまくいかないときは、軸足をちょっとずらして行動してみることが大切なんです。外の視点で見ているうちに、メインのコミュニティでの解決策が、ふっと見えたりします。3つの柱の上で、必要に応じて重心をずらしながらてバランスを取ることで、結果的にタフでいられるのだと思いますよ。社会人の方にも、「会社」「家庭」の他に、地域貢献とか、何かコミュニティを持つことをオススメしています。
実は、「社会に出て、働く」ということに、いいイメージが持てません。
父親がワーカホリックだった人の子どもほど、仕事に対して暗いイメージを持っていて、働く意欲が低いようですね。最近は、男子学生に多くみられます。父親を見て、「あんな風になるんだったら働きたくない」と思って育ってきているんです。
だけど今、企業はそんなに残業してほしくないんです。残業には光熱費や人件費など、いろいろなコストがかかりますからね。これからは、自分で働くことと私生活とをコントロールしていく「ワークライフバランス」の時代だから、大丈夫ですよ!
ホントですか!?
ええ。だからみなさんも、「長い時間勉強したほうが受験に勝てるんじゃないか」という勘違いの延長線上で「仕事も長時間やったほうが認められるんじゃないか」と思うような幻想は捨てましょう。短い時間に生産性をあげて働くように工夫すれば、仕事をしながら豊かな生活を送り、家族を幸せにするイメージが持てると思います!
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